Wisdom
親知らず
親知らずについて
親知らずとは、上下左右の最も奥に位置する大人の歯(永久歯)であり、専門用語では第三大臼歯または智歯と呼ばれている歯のことです。
真ん中の前歯(中切歯)から数えて8本目で、もともとない方から4本全てある方まで人それぞれ異なります。


親知らずと歯並びの関係性について
親知らずの生えてくる向きに関しても個人差や部位による差がありますが、斜めに生えてくる場合には手前の歯を押すように生えてくるため、ドミノ倒しのように前歯まで歯並び全体に影響を及ぼすこともあります。
矯正の際の親知らず抜歯の意味
(後戻り)
矯正方法や親知らずの生え方により異なりますが、後戻りなどの様々なリスクを考慮すると、事前に抜歯をおすすめすることが多くあります。
親知らずの痛みの原因について
生えてくる際の手前の歯や覆い被さっている歯茎を押して生えてくるような痛み、周囲が清掃不良となりやすく歯茎が炎症を起こすことによる痛み、覆い被さっている歯茎に噛み合わさる歯がある場合は歯茎に歯が噛み込むことによる痛みを生じることがあります。


親知らずによる症状
周囲歯茎の腫れ、それにより噛めない状況や顔まで腫れてしまうこともあります。
また該当部分から膿や出血なども認められることもあります。
重度になれば親知らずによる炎症が喉まで広がり飲み込む際の痛み(嚥下痛)を生じることもあります。
放置することの危険性
親知らずが歯全体を押すことで歯並びが悪くなるばかりではなく、特に親知らずが部分的に見えており一部歯茎で覆われているような場合では、清掃不良・清掃困難により、周囲の歯の虫歯や歯茎の炎症が起こりやすい状態が続くことになります。
また斜めに生えている場合では、手前の歯を削り蝕みながら生えようとするため、あまり自覚なくかなり重度な虫歯や歯周病になってしまうことも多くあります。
親知らずを抜歯する際の
医院の選び方
親知らずの抜歯は歯科領域で口腔外科という分野に入ります。
口腔外科を標榜している歯医者を受診することをおすすめいたします。
こんな医院での抜歯をおすすめ
全てにおいて言えることですが、まず担当医が現状の説明から術中術後の説明、メリットやデメリット(リスク)をしっかりと伝えてくれるか。
またそれをご自身のお考えと合わせて納得のいくものであるか否かが重要だと考えます。


親知らずの抜歯について
抜歯すべき最適な時期
いかなる抜歯も術後の痛みや腫れのリスクが少なからずあります。
痛みや腫れが生じてしまった場合、術後2〜3日後がピークでその後1週間ほどで徐々に落ち着いてきます。
そのため抜歯当日から1週間ほどは重要な予定のない時期が最適です。余裕をもって2週間ほどみていただくとより安心です。


抜歯の難易度について
まっすぐに生えている場合
- 難易度:低
- 時間:1〜5分(1分もかからずに抜けることも多くあります。)
- 費用:1,000〜2,000円
横向きに生えている場合
- 難易度:中
- 時間:5〜15分(そのままでは抜けない場合は歯や周囲の骨を削り分割して抜きます。)
- 費用:1,000〜3,000円
埋まっている場合
- 難易度:高
- 時間:10〜30分
- 費用:3,000〜5,000円
※大学病院や専門機関へ紹介させていただくことが多いケースです。
抜歯をお勧めするケース
- 痛みや腫れなどの諸症状がある。
- 親知らずそのものが虫歯になっている。
- 周囲に悪影響を及ぼしている。
- 総合的に抜歯をするメリットがデメリットやリスクを上回る場合。
抜歯しなくて良いケース
- まっすぐ生えており噛み合う歯がある(機能している)。
- その上で適切にケアが行き届いている。
- 完全に骨の中に埋まっており、今後周囲に悪影響を及ぼす可能性が低そうな場合。
抜歯後の注意点
- ぶくぶくうがいのように過度に口をゆすがない。
- 悪戯に触ったり刺激しない。
- 飲食は刺激物をさける。
- 食事の際は術部で噛まないよう注意する。
- 入浴や運動など血流が良くなることを避ける。
- 処方された薬は用法用量を守って服薬する。
親知らずを抜歯する際の流れ
- 当日の体調や部位、内容の確認
- 表面麻酔
- 麻酔
- 抜歯
- ある程度の止血確認ができ次第終了
※お薬の処方がある場合は受付にて会計時にお渡しいたします。
抜歯後の腫れ・
トラブルについて
どの程度腫れるかについては、通常は他人から見ても分からないレベルで落ち着くことが多いです。
しかしながら歯茎の切開や骨を削る必要がある場合には、ゴルフボール大ほどに腫れてしまうことも稀にあります。
ですが、術後2〜3日後をピークとし、その後1週間程度で徐々に引いていきます。
危険な腫れ方について
喉あるいは顎下の首付近まで腫れ、物を飲み込む際の痛み(嚥下痛)や飲み込みづらさが強い場合、または目の下の頬部まで腫れがある場合にはすぐに治療を受けた医院までお問い合わせをお願いいたします。
親知らず抜歯でよくあるご質問
Q.何歳くらいから生えてきますか?
A.10代後半から生えてきます。
Q.生えてくるときの痛みはどのような痛みですか?
A.親知らずが生えてくる際に手前の歯が押されて生えてくるような痛みや、覆い被さっている歯茎と噛み合わさることによる痛み、周囲の歯茎が清掃不良になりやすいためそこが腫れたり化膿することによる痛みを生じることがあります。
Q.どんな時、親知らずが
痛くなるのか?
A.疲れが溜まり免疫が落ちている時は痛みが出やすいです。
またホルモンバランスの変化や気候、気圧の変化でも症状が増すこともあります。
Q.親知らずはなぜきちんと
生えないのか?
A.現代人は顎が小さいと聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
歯の数、歯の大きさに対して歯が生えそろう顎の骨が小さいため、きちんと定位置に生えないことがあります。
例えとして、すでに座っている椅子にもう1人が無理矢理座ろうとしている状態です。
Q.親知らずがまた生えることが
あるの?
A.親知らずは一度抜いたらまた生えてくることはありません。
しかしながらごく稀に同部位付近に第三大臼歯(親知らず)とは別の過剰な歯(過剰歯)が存在する方もいます。
Q.抜かないで治す方法は
ありますか?
A.場合によっては、矯正治療後に親知らずを所定の位置へ移動させ機能させることを前提に抜かない場合や、抜歯が必要となってしまった他の部位へ移植する場合もありますが、その適応となることは現実的に非常に少ないです。
Q.親知らずの抜歯前の注意は?
A.患者様自身でできることとしましては、体調を整えておくこと、可能な限り親知らず部分も歯磨きなどで清潔な状態にすること、事前に処方された薬があれば担当医の指示に従い服薬することです。
Q.抜けなくて途中で中止されることはあるの?
A.幸い私自身経験はありませんが、時として歯と骨が強固に癒着(骨性癒着)しており、これ以上進めることが危険だと判断された場合や、途中で麻酔が切れあらゆる方法で麻酔を追加したが思うように麻酔が効かなかったがためにやむを得ず抜歯を中止せざるを得ないことなどはあり得るかもしれません。
Q.親知らずが虫歯になると抜歯は
難しいですか?
A.親知らずが虫歯か否かというよりは、骨や歯茎に埋まっている場合はその程度や、どのような向きに生えているか、また注意が必要な解剖学的構造(下歯槽神経など)との位置関係などによって難しさは変わってきます。
Q.親知らずを抜くと小顔になる?
A.特に成人されてからの親知らず抜歯ですと、基本的には顎の骨の成長発育は終了しております。
そのため、よっぽど頬側に張り出して生えている親知らずの抜歯などであればいくらか変わる可能性もありますが、基本的には小顔効果は見込めません。
しかしながら、抜いた部分の骨は治癒過程で吸収(減る)することや、親知らずを抜いたことにより噛み合わせや筋力バランスが変化することで、多少の変化はあるかもしれません。
親知らず抜歯を検討されている患者様へ
親知らずも、虫歯などと同様に痛みや何かしらの症状がでて初めて歯医者を受診する方も多いかと思います。
しかしながら、親知らず抜歯をご経験された、または親知らずの痛みで歯医者を受診されたことがある方ならお分かりかもしれませんが、いざ痛みが出てしまった場合、周囲の炎症が強く抜歯をしたいのに炎症が引いてからでないと抜歯ができない、あるいはできたとしても麻酔が非常に効きづらくとても痛く辛い思いされた方も多くいらっしゃるかと思います。
そのような状態ですと術後も腫れや痛みが強く出てしまうことがあります。また状況次第では大学病院を含む専門機関への紹介が必要なケースも多くあります。
上記の理由から、特に親知らずの抜歯に関しましては予防的観点も含め、できる限り症状がないうちに早めの抜歯を行うことをおすすめいたします。

